SF漫画は「もしこうだったら」という一つの仮定から、世界の仕組みを丸ごと組み立てて見せてくれるジャンルです。宇宙、未来の社会、文明が終わったあとの世界と、仮定の置き方しだいで読み味がまったく変わります。この記事では、これからSF漫画を読む人が入口を選びやすいように、次の3つの基準で10作品を並べました。
- 1巻で世界のルールがつかめること。設定の説明に何巻もかかる作品より、1巻を読み終えた時点で「この世界では何が起きていて、何が問題なのか」が分かる作品を前に置きました。
- 10作でSFの題材が重ならないこと。宇宙での漂流、宇宙で働く人の日常、石の世界からの文明再建、未来の無人島サバイバル、宝石の体を持つ種族、終末の旅、人型AIの医療、電脳化した社会、ロボットが暮らす黄昏の日本、果てしなく続く巨大建築と、仮定の置き方が散るように選んでいます。
- 漫画賞や映像化など、外から確かめられる実績があること。10作中4作が日本SFファンダムの星雲賞コミック部門を受賞し、10作すべてがアニメになっています。
順位は「1巻を読んでSFの面白さがどれだけ早く伝わるか」を最優先にし、次に受賞や映像化といった実績を見ました。近い作品どうしでは、巻数が少なく最後まで読み切りやすいほうを前に置いています。ストアの売上順や他サイトの順位を並べ替えたものではなく、この手順でええこみ!が判断した順位です。掲載したカードはすべて第1巻です。
第1位 彼方のアストラ
SFの設定とミステリーの謎解きが一緒に進む作品で、伏線が最終巻でまとめて回収される構成です。全5巻で完結していて、10作の中で最も短い巻数で結末までたどり着けるため、SFを読み慣れていない人の1冊目に向いています。マンガ大賞2019で大賞を受賞し、2019年7月からテレビアニメが放送されました。
第2位 プラネテス
10作の中で最も現実に近いSFです。いまの宇宙開発の延長線上にある問題が題材になっているため、SFの「仮定」に慣れていない人でも想像しやすく、宇宙ものの入口として選びやすい1作です。全4巻で完結しています。2002年に第33回星雲賞コミック部門を受賞し、2003年10月からNHK BS2でテレビアニメが放送されました。
第3位 Dr.STONE
火起こしから始まって、薬や電気、通信へと文明の道具を一つずつ作っていく過程そのものが物語になっています。作中の工作には実際の理科の知識が使われていて、読みながら「これはこう作るのか」と分かる楽しさがあります。本編は全26巻で完結し、第64回小学館漫画賞少年向け部門を受賞しました。テレビアニメは2019年7月に始まり、第4期「SCIENCE FUTURE」が最終シーズンとして放送されました。
第4位 7SEEDS
サバイバルを複数のチームの視点から描く群像劇です。登場人物たちは事情を知らされないまま物語が始まるため、読者も彼らと同じ目線で世界の事情を少しずつ知っていくことになります。本編は全35巻と長めですが、外伝を含めて完結しています。第52回小学館漫画賞少女向け部門を受賞し、Netflixでアニメが配信されました。
第5位 宝石の国
主要な登場人物が人間ではなく、宝石の体を持つという仮定の上に組み立てられた作品です。割れても欠片を集めれば治る、という体のルールが、戦い方や仲間との関係に直接効いてくるのがSFとしての面白さです。全13巻で完結し、2025年に第56回星雲賞コミック部門と第45回日本SF大賞をそろって受賞しました。2017年にテレビアニメが放送されています。
第6位 少女終末旅行
文明の終わりという重い題材を扱いながら、2人の会話はのんびりしていて、読み心地が暗くなりすぎない終末ものです。世界がなぜこうなったかを大きく語らず、読者に想像させる余白を残しています。全6巻で完結していて、2019年に第50回星雲賞コミック部門を受賞しました。2017年10月からテレビアニメが放送されています。
第7位 AIの遺電子
主人公が医師なので、「AIに心があるか」という抽象的な問いが、診察や治療という具体的な場面の話として描かれます。AIをテーマにしたSFの中でも、身近な距離感で読める作品です。全8巻で完結していて、続編の「RED QUEEN」と前日譚の「Blue Age」も刊行されています。2023年7月からテレビアニメが放送されました。
第8位 攻殻機動隊
1995年11月公開の押井守監督による劇場アニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」で名前を知っている人も多い、サイバーパンクの代表作の原作です。1巻で一つの物語としてまとまっているため、長編を読む時間がない人でも手に取りやすい作品です。コマの外に作者の解説が細かく書き込まれていて、読むのに時間がかかるぶん、この順位にしました。
第9位 ヨコハマ買い出し紀行
10作の中で最も静かなSFです。人が減っていく世界を描きながら、悲しさより穏やかさが勝る点が第6位の「少女終末旅行」と共通していて、そちらが気に入った人の次の1冊に向いています。全14巻で完結し、2007年に第38回星雲賞コミック部門を受賞しました。OVAとしてアニメ化されています。
第10位 BLAME!
設定の説明が作中にほとんど出てこないため、何が起きているのかを読者が自分で組み立てる読み方になります。入口としては難しいぶん、SFを何作か読んだあとの1冊として最後に置きました。全10巻で完結し、2017年5月に劇場アニメが公開されています。
まとめ
初めてSF漫画を読むなら、全5巻の「彼方のアストラ」か全4巻の「プラネテス」から始めると、短い巻数でジャンルの面白さを確かめられます。気に入った題材が見つかったら、同じ方向の作品へ進んでみてください。














