歴史漫画は「教科書で習った時代しか知らないけれど楽しめるか」が最初の壁になります。この記事では、その壁を越えやすい作品から順に並べるために、次の4つの基準で10作品を選びました。
- 史実の予備知識がなくても1巻から入れること。人物関係や時代背景を作中で追えるように作られているかを見ました。
- 10作で時代と地域が重ならないこと。古代中国、11世紀の北欧、13世紀のモンゴル、15世紀のヨーロッパ、19世紀の中央アジア、鎌倉末期、戦国、江戸、明治初期、明治末期の北海道と、舞台が散るように選んでいます。
- 受賞や映像化など外から確かめられる実績があること。掲載した10作はいずれも漫画賞の受賞か映像化、またはその両方があります。
- 電子書籍で1巻から読み始められること。掲載したカードはすべて第1巻です。
順位は「第1巻を読み終えたときに続きを読みたくなるまでの短さ」を最優先にしました。次に受賞や映像化といった外部の実績を見て、近い作品どうしでは完結していて最後まで読めるほうを前に置いています。ストアの売上順や他サイトの順位を並べ替えたものではなく、この手順でええこみ!が判断した順位です。
第1位 ゴールデンカムイ
金塊の争奪という分かりやすい目的が第1巻で示されるので、明治末期の北海道という馴染みの薄い舞台でも迷わず読み進められます。アイヌの文化や食の描写が話の進行と一緒に入ってくるため、歴史を学ぶ構えがなくても知識が積み上がります。全31巻で完結していて、マンガ大賞2016と第22回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。山﨑賢人主演の実写映画が2024年1月19日に公開されています。
第2位 キングダム
戦場で成り上がりを目指す少年の話として始まるので、春秋戦国時代の知識がなくても読めます。国の名前や将軍の名前は作中で繰り返し整理されるため、読み進めるほど中国史の人物関係が頭に入ってくる作りです。第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、テレビアニメ化と実写映画化がされています。連載中で巻数が多いぶん、完結作の1位より後ろに置きました。
第3位 チ。―地球の運動について―
地動説が題材ですが、天文学の知識は要りません。問われているのは「命を懸けてでも知りたいか」という一点なので、理系の話が苦手でも読めます。10作で最も巻数が少なく、週末で読み切れる分量です。第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、2024年10月5日からNHK総合でテレビアニメが全25話放送されました。
第4位 ヴィンランド・サガ
ヴァイキングの戦いから始まり、巻が進むにつれて「戦わずに生きるとは何か」へ問いが移っていく長編です。序盤の戦闘描写の迫力で引き込みつつ、後半は農場や開拓へ舞台が変わるため、読み終えたときの印象が始まりと大きく違います。2025年9月22日発売の第29巻で完結しました。第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞と第36回講談社漫画賞一般部門を受賞し、2019年にテレビアニメ化されています。
第5位 逃げ上手の若君
鎌倉幕府の滅亡から南北朝へ向かう、学校ではさらりと流されがちな時代を正面から扱っています。週刊少年ジャンプ連載らしく見せ場の作り方がはっきりしていて、10作で最も少年漫画の読み心地に近い歴史漫画です。テレビアニメ第2期が2026年7月からフジテレビ系「ノイタミナ」で放送されています。連載中のため、完結作の後ろに置きました。
第6位 大奥
架空の設定を一つだけ置き、そのうえで将軍の代替わりを順に追っていく時代物です。史実の出来事が設定の中でどう置き換わるかを見比べる楽しみがあり、江戸時代の流れを知っている人ほど読みどころが増えます。全19巻で完結していて、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。NHK「ドラマ10」で2023年にドラマ化されています。
第7位 るろうに剣心
明治初期の東京を舞台に、幕末の動乱を生き延びた人々のその後を剣戟アクションで描きます。歴史の要素は背景に置かれていて、バトル漫画として読み始められるので入口は10作で特に軽い部類です。全28巻で完結し、佐藤健主演の実写映画が5作公開されたほか、2023年には新しいスタッフとキャストでテレビアニメが制作されました。続編の「北海道編」はジャンプSQ.で連載されています。歴史漫画としての比重が上位より軽いぶんこの順位です。
第8位 天幕のジャードゥーガル
13世紀のモンゴル帝国という、日本の漫画ではあまり扱われない時代と地域を舞台にしています。戦場ではなく宮廷の内側から帝国を見る視点なので、合戦中心の歴史漫画とは違う読み味です。「このマンガがすごい!2023」オンナ編で1位になり、2026年7月4日からテレビ朝日系列ほかでテレビアニメが放送されました。連載中で既刊が少ないため、追いかけ始めやすい1作です。
第9位 乙嫁語り
1コマごとの描き込みの密度が10作で群を抜いていて、絵を眺めるだけでも時間が過ぎる作品です。大きな事件よりも生活の手触りが中心なので、戦いや政争を求める人には上位のほうが合います。逆に、知らない土地の暮らしをのぞきたい人にはこの10作で最も向いています。マンガ大賞2014を受賞し、連載中で第15巻まで配信されています。
第10位 へうげもの
戦国時代を武力ではなく茶の湯と美意識の側から描く、切り口の珍しい作品です。織田信長や千利休といった有名な人物が、合戦とは違う顔で登場します。戦国時代の大まかな流れを知っていると笑いどころが増える作りなので、入門には上位の作品を先に読むほうが早いと思います。全25巻で完結していて、第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。
まとめ
最後まで読み切りたいなら完結している1位・3位・4位・6位・7位・10位、アニメと一緒に追いかけたいなら2位・5位・8位という選び方ができます。短く読みたいなら全8巻の3位から入るのが近道です。














