音楽漫画は、紙の上では鳴らない音を、コマ割りや表情、描き文字で読者に「聞かせる」ジャンルです。同じ演奏の場面でも、ジャズのセッションとオーケストラの合奏、ライブハウスのバンドと箏や三味線では、描き方がまったく違います。この記事では、これから音楽漫画を読む人が1冊目を選びやすいように、次の3つの基準で10作品を並べました。
- 1巻のうちに演奏の場面にたどり着けること。楽器を始めるまでの準備が長い作品より、1巻を読み終えた時点で「この作品は音をこう描くのか」が分かる作品を前に置きました。
- 10作で音楽の系統が偏らないこと。ジャズ2作、クラシック3作、ロックバンド3作、和楽器2作という配分で、楽器も演奏する場所も重ならないように選んでいます。
- 漫画賞や映像化など、外から確かめられる実績があること。10作中6作が漫画賞を受賞し、9作がアニメや映画になっています。
順位は「1巻で音楽の場面の迫力がどれだけ早く伝わるか」を最優先にし、次に受賞や映像化といった実績を見ました。近い作品どうしでは、完結していて最後まで読み切れるほうを前に置いています。ストアの売上順や他サイトの順位を並べ替えたものではなく、この手順でええこみ!が判断した順位です。掲載したカードはすべて第1巻です。
第1位 BLUE GIANT
ジャズを聴いたことがない人でも、サックスの音の大きさや熱さが絵から伝わってくる作品で、10作の中で最も「音が聞こえる」と感じやすい1作として1位にしました。第1部は全10巻で完結していて、第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞と第62回小学館漫画賞一般向け部門を受賞しています。2023年2月には劇場アニメが公開されました。物語は「BLUE GIANT SUPREME」以降の続編へ続いています。
第2位 四月は君の嘘
ピアノとヴァイオリンのコンクールが舞台で、クラシックの曲名を知らなくても、演奏中の登場人物の心の動きを追うだけで読み進められます。全11巻で完結していて、第37回講談社漫画賞少年部門を受賞しました。2014年10月からフジテレビのノイタミナ枠でテレビアニメが放送されています。
第3位 のだめカンタービレ
音大が舞台のクラシック漫画ですが、主人公2人の掛け合いはコメディとして笑える場面が多く、音楽漫画の中でも重くなりすぎずに読めます。ピアノに加えて指揮やオーケストラの世界まで描かれるため、クラシックの入口として幅が広い作品です。全25巻で完結し、第28回講談社漫画賞少女部門を受賞しました。テレビドラマとテレビアニメにもなっています。
第4位 BECK
ロックバンドを組んでライブハウスから大きな舞台を目指していく、バンド漫画の定番です。ライブの場面に台詞を詰め込まず、絵で盛り上がりを見せる描き方が特徴で、ロック好きの人に最初に薦めやすい作品です。全34巻で完結していて、第26回講談社漫画賞少年部門を受賞しました。2004年10月からテレビアニメが放送されています。
第5位 坂道のアポロン
1960年代の地方都市を舞台に、ピアノとドラムのジャズセッションで高校生どうしの関係が変わっていく作品です。第1位の「BLUE GIANT」が1人のプレーヤーの成長を追うのに対し、こちらは「誰かと一緒に演奏する」ことに重心があります。全9巻で完結し、第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞しました。2012年にノイタミナ枠でテレビアニメが、2018年に実写映画が公開されています。
第6位 ぼっち・ざ・ろっく!
4コマ形式で読みやすく、バンド漫画を読んだことがない人でも気軽に手に取れる作品です。人前に出るのが苦手な主人公がライブハウスに立つまでの描き方に共感する読者が多く、2022年10月から放送されたテレビアニメをきっかけに広く知られるようになりました。2024年には劇場総集編も前後編で公開されています。連載中で、2026年10月時点で8巻まで刊行されています。
第7位 ふつうの軽音部
高校の軽音部を舞台に、実在する邦ロックの楽曲名が作中に出てくるのが特徴で、普段から邦ロックを聴いている人ほど楽しめる作品です。演奏の場面と同じくらい、部内の人間関係の細かいすれ違いを丁寧に描いています。「少年ジャンプ+」で連載中で、次にくるマンガ大賞2024のWebマンガ部門で1位に選ばれました。
第8位 この音とまれ!
10作の中で唯一、箏(こと)を題材にした作品です。和楽器になじみがなくても、部活ものとして仲間が集まっていく流れで読めるので、題材の珍しさのわりに入りやすい1作です。2019年にテレビアニメが2クールにわたって放送されました。
第9位 青のオーケストラ
高校のオーケストラ部が舞台で、ソロではなく大人数で1つの曲を作る難しさが描かれます。第2位の「四月は君の嘘」でヴァイオリンの場面が気に入った人が、次に読む1冊に向いています。2023年4月からNHK Eテレでテレビアニメが放送され、2025年10月から第2期が放送されました。
第10位 ましろのおと
津軽三味線という、ほかの音楽漫画ではまず扱われない楽器を正面から描いた作品です。同じ和楽器でも、部活の合奏が軸の第8位「この音とまれ!」に対し、こちらは1人の奏者が自分の音を探す話が軸で、読み味の違いがはっきりしています。全31巻と長めなので、音楽漫画を何作か読んだあとの1冊としてこの順位に置きました。2022年10月に最終31巻が発売されて完結し、2021年4月からテレビアニメが放送されています。
まとめ
初めて音楽漫画を読むなら、ジャズの「BLUE GIANT」かクラシックの「四月は君の嘘」から始めると、短めの巻数で演奏シーンの迫力を確かめられます。バンドに興味があれば「BECK」や「ぼっち・ざ・ろっく!」、和楽器に興味があれば「この音とまれ!」へ進んでみてください。














