柳本光晴さんの将棋漫画『龍と苺』が、2026年8月18日発売の第29巻をもって全29巻で完結しました。第1巻の発売は2020年8月18日で、ちょうど6年をかけて描き切られたことになります。『週刊少年サンデー』での連載も2026年6月に最終回を迎えており、単行本もこれで追いつきました。全29巻という長さは、これから読む人には少し身構える数字です。ただしこの作品は区切りがはっきりしているので、どこを目指して読むかを先に決めておくと進めやすくなります。
龍と苺はどんな漫画? 作品の位置づけと魅力
作者の柳本光晴さんは、前作『響〜小説家になる方法〜』でマンガ大賞2017の大賞を受賞し、2018年には実写映画も公開されています。文芸の世界に規格外の才能が飛び込む話を描いた人が、次に選んだ舞台が将棋界でした。
将棋漫画というと、盤面の読み合いをどこまで理解できるかが心配になります。『龍と苺』はそこの負担が軽い部類です。棋譜を追えなくても、主人公が何を狙って、相手が何に驚いているのかが表情と間で伝わるように組み立てられていて、勝負の緊張はルールの知識と切り離して届きます。将棋を指さない読者が入りやすいのはこの作りによるところが大きく、入口としての敷居はかなり低い作品です。
もう一つの特徴は、主人公が「女性だから」「子どもだから」と言われる場面を、説得ではなく将棋の内容で越えていくところです。棋士の側にも一人ずつ事情と執念が用意されていて、負かされる相手が単なる壁で終わりません。長期連載の後半で登場人物が増えても筋が散らからないのは、対局ごとに「この人はなぜここに座っているのか」が置かれているからです。作品の情報は小学館コミックの作品ページにまとまっています。
全29巻が出そろってから読むと何が変わるか
将棋の一局は決着まで長く、対局の途中で巻が切れることが何度もあります。連載や既刊を追う読み方だと、そのたびに数か月の間が空きました。全29巻が並んだ状態なら、七番勝負のような連戦をひと続きで読めます。この作品では、待つ時間が挟まるかどうかで手応えがかなり変わります。
後半には、作品の枠組みそのものが切り替わる場面もあります。そこは先の展開を知らずに入るほど効くところなので、あらすじの先読みはせずに巻を進めるのがおすすめです。
全29巻の区切りを巻数で整理する
『龍と苺』は、藍田苺が立つ舞台が上がるたびに区切りが入ります。自分がどこまで読んだかを探すときの目印にも、「ここまでは読もう」と決めるときの目標にもなるので、巻数で並べておきます。
- 第1巻から第5巻あたり … 将棋を覚えてアマチュアの大会で戦う時期です。
- 第6巻 … 相手がアマチュアからプロ棋士に変わる区切りです。ここから作品の手触りが一段変わります。
- 第12巻 … 竜王戦の決勝トーナメントが佳境に入ります。
- 第17巻 … 竜王戦七番勝負が始まります。ここから最上位のタイトル戦です。
- 第21巻 … 物語の時間が100年先へ進み、舞台が切り替わります。第29巻までの9巻分がこの枠組みで進みます。
- 第29巻 … 2026年8月18日発売の最終巻です。
冒頭だけ「第5巻あたり」と幅を持たせたのは、アマチュア時代がどの巻で終わるかを出版社が明示していないためです。第6巻から先は小学館の内容紹介で区切りが示されているので、そちらは巻数で言い切れます。
読み切る目標を段階的に置くなら、まず第6巻のプロ棋戦まで、次に第17巻からのタイトル戦まで、最後に第21巻以降の9巻をまとめて、という三段構えが無理のない配分です。
どこから読む?
これから読み始める人は第1巻からです。将棋のルール説明に紙面を割く作りではないので、指せない人でも止まらずに進めます。
序盤を読んで続けるか決めたい人は、第6巻をひとまずの目標にしてください。ここまで来れば、この作品が何をやろうとしている漫画なのかは判断がつきます。
途中まで読んで止まっている人は、第12巻あたりが自分の記憶と照らし合わせやすい位置です。トーナメントの終盤なので、読んだか読んでいないかがはっきりします。
タイトル戦から読みたい人は第17巻です。ここから対局が連続するので、途中で間が空きにくくなります。
前半を読み終えた人は第21巻へ進んでください。枠組みが切り替わる巻なので、ここから最終巻までの9巻は続けて読むと区切りが合います。
完結まで読み切るなら第29巻が終着点です。2026年8月18日発売の最終巻で、全29巻がここで閉じます。
まとめ
入口は第1巻、相手がプロに変わるのが第6巻、タイトル戦が第17巻から、枠組みが切り替わるのが第21巻、完結が第29巻。どこまで読むかを先に決めておけば、全29巻という長さに気圧されずに始められます。










